静岡の農の匠たち

今月は生産量の増産栽培に挑戦する!

葵区南杉山博崇さん

 

葵区の麻機地区で、10種類以上の柑橘を2ha、花卉を17a、ビワを15a、ブルーベリーを10a、両親とともに栽培しています。自己紹介する際は、自分を「カジュ(果樹×花樹)農家」と名乗っています。
就農したきっかけは、2011年の東日本大震災でした。それまで映像制作の仕事に携わっていましたが、震災を機に世の中の価値観が大きく変わり、実家の農業を継ぐことを決意しました。2年前に経営移譲も行い、柑橘委員会役職の副委員長として組織運営にも挑戦しています。
現在、私が最も懸念していることは、静岡から多様な作物の産地が失われつつあることです。お茶をはじめ、ミカンもビワも後継者不足や生産者の高齢化が進み、産地の存続が危ぶまれています。この状況を食い止めるために、まずは生産量を増やすべく農地を拡大しています。柑橘や果樹、そして、私が栽培している極楽鳥花(ストレリチア)は、野菜と違い1年では収穫できるものではありません。そのために、管理作業や収穫が一時期に集中しないよう、作物を選別し、計画的に作付面積を増やしています。
柑橘委員会では、販売ルートや人とのつながりを活かしつつ、役員の若返りを図っています。委員の皆さんには共選場への出荷を積極的に呼びかけています。出荷量が増えれば秀品の割合も上がり、量をまとめることでブランド力も高まります。共販ならではの強みを最大限に活かしていきたいと考えています。
この業界は、先人たちの努力の積み重ねによって成り立っています。私も栽培している作物の生産量を増やし、静岡から農産物の産地を消さないよう、これからも頑張りたいと思います。